陰山メソッド家族の学習奮闘記は、1996年に陰山英男先生が解説したホームページの掲示板から生まれた陰山メソッド実践者の学習記録をまとめたもの。
書かれているのは、学年別、課題別、学習の土台別に効果的な学習のポイント。
それに関連する実践記「我が家はこうしました」と、実践記録に対する隂山先生のアドバイス。
これから陰山メソッドに取り組むにあたっての学習チェックに利用できる教材例。
体験談がベースになっているので、かなり実践的な内容の本です。
ただし、読むにあたっては注意事項があります。
ここに出てくる方の多くは、私の作った教材だけでなく、さまざまな教材を組み合わせて、自分なりのやり方を作られています。しかし、これが大切なのです。
(中略)
子どものためにいいなと思ったら何でもやってみる。そこでうまくいくことやうまくいかないことを見つけることで、子どものことをより深く知ることができるようになります。
これが一番大切なのです。
このことによって、子どもを理解することや、指導する力が育ってきます。つまり、子どもたちを上手に導くには、私たちが成長していくことが求められているのです。
これに加えて、本の出版年月日が古いことにも注意。
学年別の注意事項が書かれていますが、今の指導要領とは合わない部分がある可能性大。
つまづきやすいポイントは参考にはなるけれど、あくまでも参考に。親子で悩みながら実践してきた人たちからアドバイスをもらうイメージで読み進めていくのがいいです。
体験談を細かく読みながら「これは我が家でもできそう」「うちの子も似たような感じだ!我が家でもやってみよう」というのを探していくので、「いいから早くやるべきことだけ教えてよ!」というせっかちさんには向いてないかもしれないです。
学年別の学習記録で参考になったこと
小学校低学年は親子のコミュニケーションが鍵
学年別の学習記録パートでは、家庭でのチェックポイントをあげています。
例えば、小学校低学年の家庭では、最初から無理をさせないことがポイントだそう。
「もしかして、無理な要求だったかな?」と感じても、本当に無理なのか、本当はできるはずの無理なのかの見極めが大切とのこと。
これを見極めるためには親子のコミュニケーションが大切だそうで、「今日の学校はどうだった?」などの声がけのような細かいコミュニケーションから始めればいいそう。
でも、共働きで親子のコミュニケーションが上手にとれない家庭も多いはず。そういう場合は、「ちょっと優しすぎるかもしれない」くらいのレベルから始めることを推奨しています。
小学校中学年では、日常で使わない単位に気をつけてあげる
中学年では、効果があがる学習方法としてこんな内容が書かれています。
時間、パーセントなど、大人の日常生活でも使うものは自然に身につきます。大人もあまり使わないものには特に気をつけましょう。
うちの子供も、単位換算がうまくいかずに引っかかってしまった組。
親の私がなかなか気付いてやれなかったのは、本当に申し訳なかったんですが、子供が使っている教科書に親も目を通してやっていればこんなことにはならなかったのかなと思ってます。
小学校高学年の基礎学力のチェックポイント
小学校高学年の子どもの基礎学力づくりの手引きとしては以下の6つがポイントだそう。
5年生
- 配当漢字の全てが読め、8割の漢字を書くことができる
- 今まで習った漢字を使った熟語の8割を書くことができる
- いろいろな詩歌を暗唱する
- 割り算(第三類型)百問を5分以内にすることができる
- 連除法を使って、約分・通分・異分母分数の加減ができる
- 歩合・百分率を使った問題を解くことができる
子供が小学校高学年になったときの親の心配ごとは、中学校の勉強についていけるかどうか。
一見、成績がいい子供でも、ちょっとしたことでつまづいていて中学校に入った途端に成績が落ちてしまった。という話もよく聞くので、高学年になったら、その学年で押さえておくべきポイントを我が子がわかっているか確認しておかないとまずいです。
そういうチェックポイントとして、各学年のポイントが役に立ちます。
子供に伴走するためのポイント・ヒントが盛りだくさん
ゲーム・テレビの習慣や学習困難児についての言及もあり
バックグラウンドが異なる色々な家庭の体験談が豊富に掲載されているので、「読み・書き・計算」の向上のさせ方だけではなく、家族の巻き込み方や子供との付き合い方が読めるのが、素敵な本です。
特に、子供の教育は母親に任せきりで育児に興味のない父親の関わらせ方や、年が近い兄弟(姉妹)がいる場合の実践方法は、単なるメソッド本には答えも実践例も書かれていないので、参考になるひとが多いと思いますよ。
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